フランス語のエリジオン(母音の省略)
フランス語では、母音で始まる語の前で、特定の短い語の末尾の母音を省き、アポストロフィでつなぎます。これをエリジオンといいます。日本語の会話で言葉を縮める場合とは違い、決まった条件では必ず行う、標準的な書き方です。
定冠詞と、母音の省略を学ぶための基本語
定冠詞の母音を省く場合
単数の定冠詞「le」と「la」は、直後の語が母音や無音のエイチで始まると、どちらも「l’」になります。「L'hôtel est ici.」や「L'étudiant est ici.」では、アポストロフィの後に空白を入れません。
日本語にはこのような冠詞がないため、冠詞ごと落とさないようにしましょう。有音のエイチで始まる語の前では省略せず、「Le héros est français.」となります。この省略は、くだけた会話でも丁寧な文章でも必要です。
L'hôtel est ici.
Le héros est français.
L'étudiant est ici.
主語の母音を省く場合と、そのままにする場合
主語の「je」は、直後の動詞が母音や無音のエイチで始まると、必ず「j’」になります。「J’aime le héros.」や「J’ai une sœur.」では、アポストロフィの後に空白を入れません。子音や有音のエイチで始まる動詞の前では「je」のままです。子音の例は「Je suis français.」です。日本語で主語を言わない場合とは違い、主語そのものを省くのではなく、「je」の末尾の母音だけを省きます。
je + verbe commençant par une voyelle / je + verbe commençant par une consonne complément.
J’aime le héros.
J’ai une sœur.
Je suis français.
否定の語の母音を省く場合
否定を表す「ne」は、直後の語が母音や無音のエイチで始まると「n’」になります。「Il n’est pas ici.」では、「est」の前なので母音を省きます。「Je n’ai pas de frère.」でも、「ai」のすぐ前にある「ne」だけが「n’」になります。
省略するかどうかは、すぐ次の語で決まり、「Je ne sais pas.」のように子音が続けば「ne」のままです。日本語では動詞の語尾で否定を表しますが、ここでは動詞の前後に「ne」と「pas」を置きます。くだけた会話では「ne」自体を落とすこともありますが、標準的な文章や丁寧な話し方では、この形を使いましょう。
Il n’est pas ici.
Je n’ai pas de frère.
Je ne sais pas.
「〜と」を表す接続詞の母音省略
proposition principale qu’sujet commençant par une voyelle prédicat.
Je crois qu’il est français.
Je sais qu’elle est ici.
「これは〜です」の母音省略
人や物を示す「ce」は、「est」の前では必ず「c’」になり、「C’est un hôtel.」のように書きます。「C'est mon frère.」や「C'est bien.」でも同じです。
日本語では「これは」を言わずに「ホテルです」と言えますが、フランス語では、この表現の「c’」を落としません。複数を示す「Ce sont mes parents.」では、次の語が子音で始まるので「ce」のままです。丁寧さによって形を選ぶのではなく、直後の語によって決まります。
C’est un hôtel.
C'est mon frère.
C'est bien.
Ce sont mes parents.
無音のエイチと有音のエイチの違い
フランス語のエイチには、母音の省略を許す「無音のエイチ」と、省略を止める「有音のエイチ」があります。どちらも通常、エイチ自体の音は発音しないので、「有音」という名前でも息の音を出すわけではありません。
「hôtel」は無音のエイチで始まるため、「L'hôtel est ici.」と冠詞の母音を省きます。一方、「héros」は有音のエイチで始まるため、「Le héros est français.」と冠詞をそのまま残します。日本語の「ホテル」の発音から判断せず、辞書でエイチの種類を確認して、冠詞と一緒に覚えましょう。
L'hôtel est ici.
C’est un hôtel.
Le héros est français.
J’aime le héros.
「もし〜なら」の接続詞を省略する特別な場合
「もし〜なら」を表す「si」は、「il」と「ils」の直前でだけ「s’」になります。単数では「S'il est français, on parle français.」、複数では「S’ils sont français, on parle français.」となります。
ほかの母音で始まる語の前では省略せず、「Si elle est française, on parle français.」のように「si」を残します。日本語の「もし」にはない決まりなので、「母音の前ならいつでも省く」と覚えないようにしましょう。この形は丁寧さとは関係なく使います。
S'il est français, on parle français.
S’ils sont français, on parle français.
Si elle est française, on parle français.