ブラジルポルトガル語のクラーゼ(グレーブアクセント)の使い方
ポルトガル語では、前置詞と冠詞などが重なり、一つの形になることがあります。前置詞のアと女性冠詞のアが重なる現象などをクラーゼと呼び、グレーブアクセントで示します。日本語の「に」に当たる場所へいつもこの記号を付けるわけではなく、前置詞とその後ろの語を確かめることが大切です。
クラーゼを示すグレーブアクセント
「acento grave」はグレーブアクセントのことで、à や às に付く記号です。この課では、前置詞 a が女性冠詞 a・as や指示語 aquele・aquela・aquilo と融合したことを示します。強く読む音節を示す記号ではありません。
- acento graveグレーブアクセント
行き先の前で前置詞と女性冠詞が重なる形
行き先に前置詞 a を使い、その場所が女性冠詞 a・as を伴う場合は、a + a → à、a + as → às と融合します。「Vou à farmácia toda segunda-feira.」では単数の a、「Ela vai às lojas perto da estação.」では複数の as と融合しています。日本語には冠詞がないため、「〜へ」という意味だけでなく、ポルトガル語の冠詞も確認しましょう。
Para indicar movimento para destino feminino com artigo: a + artigo feminino singular ou plural = à / às.
Vou à farmácia toda segunda-feira.
Ela vai às lojas perto da estação.
男性名詞への置き換えで確かめる方法
女性名詞の前で à を使うか迷ったら、同じ文の形で、冠詞を伴う男性名詞に置き換えてみます。「Vou ao supermercado toda segunda-feira.」の ao は a + o です。同じ関係で女性冠詞 a を使う「Vou à farmácia toda segunda-feira.」では a + a → à になります。男性名詞への置き換えは、前置詞 a が必要かを確かめる手がかりです。元の女性名詞が冠詞を伴うことも確認します。
Para testar destino feminino com artigo, compare com destino masculino com artigo: a + o = ao; para o feminino, use à.
Vou à farmácia toda segunda-feira.
Vou ao supermercado toda segunda-feira.
「どこから戻るか」で行き先の冠詞を確かめる方法
行き先に前置詞 a を使うときは、その場所から戻る言い方で冠詞の有無を確かめられます。女性単数の場所なら、「〜から戻る」で da(de + a)を使う場合、「〜へ行く」では前置詞と女性冠詞が重なって à になります。「Vamos à Bahia em julho.」のバイーアへ行く文と、戻る文の「da Bahia」を比べると、この地名が女性冠詞を伴うことが分かります。薬局から戻る文の「da farmácia」も同じ手がかりです。
一方、ここでのパリという地名は冠詞を伴わないので、行くときは「a Paris」、戻るときは「de Paris」となり、日本語では同じ「〜へ」でもバイーアとは形が異なります。女性複数の場所なら戻るときの das に対して行くときは às、男性の場所なら do・dos に対して ao・aos となるので、冠詞の有無に加えて性と数も確かめましょう。
Compare ir a um destino com voltar de um destino: se ao voltar aparecer contração com artigo, use à ao ir; se não, use a sem acento.
Volto da farmácia ao meio-dia.
Vamos à Bahia em julho.
A gente volta da Bahia em agosto.
Eles vão a Paris em junho.
Eles voltam de Paris em julho.
「あの・あれ」を表す指示語との融合
前置詞 a が必要な位置では、その前置詞が「あの・あれ」を表す指示語 aquele・aquela・aquilo と融合し、àquele・àquela・àquilo になります。どの前置詞でもこの形になるわけではなく、日本語の「に」や「へ」という訳だけでは判断できません。女性冠詞との融合ではないため、男性名詞を指す場合や、性を区別せず物事を指す場合にも使えます。
建物へ行く例の「àquele prédio」は、行き先を示す前置詞 a と男性形の指示語 aquele が重なった形です。薬局へ行く例の「àquela farmácia」は前置詞と女性形の指示語の融合で、「Não dou atenção àquilo.」の「àquilo」も、注意を向ける対象に必要な前置詞と「あれ・そのこと」を指す語が重なっています。一方、「Aquele livro é caro.」の「あの本」は主語で、前置詞 a がないため、日本語では同じ「あの」と訳せてもグレーブアクセントを付けません。
Meu irmão vai àquele prédio todo dia.
Minha irmã vai àquela farmácia às sextas-feiras.
Não dou atenção àquilo.
Aquele livro é caro.
時間帯や方向を表す決まった言い方
「Trabalho à tarde.」は「午後に働きます」という意味で、à tarde はグレーブアクセントを使う決まった表現です。「A gente vira à direita depois da estação.」の à direita(右に)も、女性名詞を使った決まった表現です。時間帯を表す表現すべてに à を使うわけではなく、例えば「午前中に」は de manhã と言います。日本語の「に」だけを手がかりにせず、表現をまとまりで覚えましょう。グレーブアクセント自体は丁寧さの違いを表しません。
Trabalho à tarde.
A gente vira à direita depois da estação.
時刻を表す「何時に」:複数形と一時の形
出来事が「何時に」起こるかを前置詞 a で表すときは、時刻の女性冠詞と融合します。複数では a + as → às、一時では a + a → à です。「O trem chega às duas.」は「電車は二時に着きます」、「O ônibus chega à uma.」は「バスは一時に着きます」です。単に今の時刻を言う場合は「São duas.」「É uma.」となり、この前置詞は使いません。日本語の「何時に」に当たる表現では、ポルトガル語の単数・複数にも注意しましょう。
Para dizer as horas: a + artigo feminino plural = às + hora plural; para uma hora, use a + a = à.
O trem chega às duas.
O ônibus chega à uma.
男性名詞・冠詞のない地名・動詞の前での使い分け
日本語には冠詞がないため、行き先を表す「に」をすべて同じ形にしたくなりますが、ポルトガル語では冠詞の有無と性を確かめます。「Vou ao supermercado toda segunda-feira.」では、前置詞と男性冠詞が融合するため、グレーブアクセントは使いません。地名も一律ではなく、ここで学ぶパリのように冠詞を伴わないものには、前置詞だけを使います。
「Ela começa a estudar às oito.」では、「勉強し始める」の動詞の原形の前に女性冠詞がないので、アクセントを付けません。同じ文でも「八時に」の部分では前置詞と女性の複数冠詞が重なるので、グレーブアクセントを付けます。
Vou ao supermercado toda segunda-feira.
Eles vão a Paris em junho.
Ela começa a estudar às oito.